児童虐待に関する海外の状況の把握と分析

2022年度研究

  • オーストラリアの児童福祉制度視察報告書

    研究代表者名 増沢 高(子どもの虹情報研修センター)

    1. 目的
    家族や親族、地域の資源をベースにした家族支援は、オーストラリアが国を挙げて長く取り組んできた児童福祉の理念である。特に、ニューサウスウェールズ州(NSW州)では、Department of Communities and Justice(コミュニティ・司法省)を中心に、子どもと青少年・先住民・障がい者・DV被害者・性暴力被害者等、権利侵害を受けやすい人々を守り、支援する強力なコミュニティの構築に力を注いでいる。そこでは当事者の声を政策に生かす取り組みも始まっている。さらに近年、多機関協働による支援を活発化させるための情報共有システム「ChildStory」が開発された。このシステムは世界でも先駆的な取り組みとして注目されている。そこで本研究では、家族を支援の中心に据えたオーストラリアの児童虐待対応と子どもと家族へのサービスについて、法律と制度、主要な対応機関と対応プロセス、関連機関間の連携と情報共有の仕組み、児童保護の現状(統計)に関する情報を収集し、整理する。
    2. 方法
    資生堂子ども財団が主催するオーストラリア児童福祉研修に参加し、情報を収集・整理し、分析を行った。研修は、2022年11月18日から11月26日の日程でニューサウスウェールズ州シドニーにて実施された。研修における視察先は、NSW州コミュニティ・司法省、NSW州チルドレンズガーディアンオフィス、NSW州子ども若者アドボケイトオフィス、NSW州児童福祉機関協会、家庭外ケア当事者のアドボカシー推進機関、福祉サービス提供機関(在宅支援、家庭外ケア、10代のホームレス支援等サービス)、子どもと家庭への治療的支援機関、乳幼児教育・保育・早期介入等サービス施設、先住民当事者権利擁護団体、児童虐待予防・教育サービス機関等11ヵ所で、このほか及びAndrew Turnell氏(サインズ・オブ・セーフティ開発者)とのセッション、現地早期教育従事者へのヒヤリングを行った。
    3. 結果
    収集した情報の考察・分析結果は、2023年度内に報告書として取りまとめる。

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